香港直伝の広東料理を現場で叩き込む指導スタイル
香港九龍の名人・呉錦洪氏の最後の弟子にあたる会田政博氏が、厨房に立ちながら直接技術を伝えている。季節ごとに変わる食材の状態を見極め、火の入れ方や味の組み立てを体で覚えさせるやり方は、テキストや動画では到底再現できない密度がある。フカヒレ、北京ダック、小籠包といった高級食材の扱いも日常的な業務の中に組み込まれており、調理師としての経験値が一気に積み上がる構造になっている。点心からコース料理、アフタヌーンティーまでメニューの幅が広く、広東料理の全体像を一つの厨房で把握できる職場は珍しい。
個人的には、マニュアルに頼らず「体で覚える」という言葉が現場でそのまま実践されている点が印象的だった。仕込みの段階から盛り付けの最終工程まで、一連の流れを毎日繰り返す中で調理の本質が身に染みていくという考え方が根底にある。調味料の配合ひとつとっても「なぜこの分量なのか」を言葉で説明してもらえるため、ただ手を動かすだけの修行とは異なる。呉錦洪氏から受け継がれた正統な技法が、名古屋の栄で途切れずに続いている。
未経験でも受け入れる徒弟制度の実態
茗圃が採用時に重視しているのは経験やスキルよりも、食への情熱と向き合う姿勢だという。未経験者であっても段階を踏んで技術を積み上げられるよう、マンツーマンに近い形で先輩料理人がつく体制を敷いている。皿洗いや片付けといった基礎的な作業も技術習得の一部として位置づけられ、食材への理解や季節感覚が日々の業務を通じて染み込んでいく。将来の独立を視野に入れた長期的な育成方針を掲げており、単なる労働力としてではなく職人として本気で育てるスタンスが明確に打ち出されている。
「一生ものの技術を身につけたい」という動機で入った若手スタッフが、数年後にはコース料理の調理を任されるまでに成長したケースもあるという声が聞かれる。火加減の微調整や食材の切り出し方など、細部にわたる指導が毎日の現場で繰り返されるため、成長の手応えを感じやすい環境だと話すスタッフもいる。独立や店舗運営に関する相談にも応じており、技術だけでなくキャリア設計の面でも支えを得られる。料理人としての心構えまで含めて伝承する場は、業界全体を見渡しても多くはない。
まかない無料・定休日確保で続けやすい働き方
定休日は毎週月曜日に設定されており、月曜が祝日にあたる場合は火曜に振り替わる仕組みで休みが読みやすい。営業時間はランチが11:30〜15:00、ティータイムが14:00〜17:00、ディナーが17:30〜22:00と区切られているため、生活リズムを整えながら勤務を続けられる。まかないが無償で提供される点も、日々の食事コストを気にせず仕事に集中できる要因のひとつ。プライベートとの両立を意識した労働環境が、長く働き続ける土台を支えている。
栄エリアという立地を活かし、仕事終わりに同僚と食事や買い物に出かけるスタッフも少なくないという。飲食店が密集する地域だけに、他ジャンルの料理に触れて刺激を受ける機会が日常的に転がっている。銀行や郵便局も徒歩圏内に揃い、生活面での不便はほとんど感じないと話す声が目立つ。
複数路線が使える栄エリアの通勤事情
名古屋市中区栄に店舗を構え、地下鉄東山線・名城線の栄駅から徒歩約13分の距離にある。久屋大通駅からも徒歩圏内で、近隣にバス停もあるため通勤ルートの選択肢は幅広い。愛知県内の各方面からアクセスしやすく、毎日の移動負担を抑えられる立地は調理師として長く勤務するうえで見逃せない条件になる。都心部でありながら白川公園や久屋大通公園が近く、休憩時間に緑の中で気分を切り替えられる環境が整っている。
周辺にはコンビニエンスストアや多様なジャンルの飲食店が点在し、勤務前後の買い物にも困らない。文化施設が集まるエリアでもあるため、休日に美術館やギャラリーを巡って感性を磨くスタッフもいると聞く。料理人としての視野を広げる刺激が街そのものに埋め込まれている点は、郊外の店舗にはない利点だろう。栄という土地柄が、日々の仕事に対するモチベーションを底上げしている側面は確かにある。


