日替わりのおばんざいが映す、店主の目利きと手仕事
仕入れた素材の状態を見極めてから調理法を決めるため、おばんざいダイニング いちくんのおばんざいは毎日メニューが入れ替わる。余計な調味料を足さず、下処理と火の入れ方で素材そのものの旨みを引き出す方針を貫いている。複数の飲食店で腕を磨いてきた店主・木村亮一氏が、仕入れから仕上げまで一人で手がけているからこそ、味のブレが生まれにくい。チューリップ唐揚げや手作りシューマイ、マカロニグラタンといった定番の一品料理も根強い人気を持つ。
個人的には、日替わりおばんざいと定番メニューを組み合わせて頼む流れがこの店の醍醐味だと感じた。おばんざいを数品選び、唐揚げやシューマイを挟みながら酒を進めると、家庭料理の延長のようでいて明らかにプロの仕事が入っている、その境界線が面白い。「何度来ても同じものが出てこないから飽きない」という声が常連の間では定番になっているらしい。せんべろセットも用意されており、手頃な価格で一通り試せる設計になっている。
都島区で一軒だけ、フィンランド産ウォッカを注げる店
日本酒の品揃えは固定のラインナップを持たず、季節や客層の傾向を読みながら銘柄を入れ替えている。食事の合間に飲む酒として料理との相性を重視した選び方で、飲み比べにも対応しているため、普段は手に取らない銘柄と出会う確率が高い。紅茶梅酒やハーブリキュールなど、日本酒以外の個性的な選択肢も棚に並ぶ。酒に詳しい人ほど「次は何が入っているか」を楽しみに足を運ぶという声が目立つ。
大阪都島区でフィンランド産ウォッカ「コスケンコルヴァ」を扱っているのは、おばんざいダイニング いちくんだけとされている。雑味がほとんどなくすっきりした飲み口で、出汁ベースのおばんざいと合わせても料理の味を邪魔しない。北欧の蒸留酒と和の家庭料理という組み合わせは一見意外だが、実際に試すと驚くほど自然に馴染む。ウォッカをきっかけに来店し、そのままおばんざいのファンになった客もいるようだ。
一人客がふらっと座れる空気のつくり方
代表の木村氏がワンオペで営業しているからこそ、カウンター越しの距離が近い。初めて訪れた客にも気さくに声をかけるスタイルで、「一見でも構えずに済んだ」「次もまた来たい」という感想がSNS上にも散見される。誠実に調理し、誠実に接するという姿勢が店全体の空気感をつくっている。常連と初来店の客が自然に隣り合う光景は、このサイズの店だからこそ成り立つ。
木村氏は神社仏閣巡りや日本神話に造詣が深く、祭神の話や参拝作法の話題がカウンターで飛び交うことも珍しくない。たとえば仕事帰りに一杯引っかけるつもりで立ち寄り、気づけば古事記の話で盛り上がっていた——そんなエピソードが常連の間で語られている。居酒屋で歴史談義ができる場所はそう多くなく、酒と食事以外の「もう一つの目的」を持って通う人がいるのも納得できる。
深夜2時まで開く都島の好立地
大阪市都島区内代町1丁目、バス停・都島本通五丁目停留所から徒歩約1分の場所に店を構える。大阪メトロ野江内代駅からは徒歩約6分、JR野江駅へも徒歩約5分と複数路線が使える立地で、帰りの交通手段に困りにくい。平日は18時から翌2時まで、土日祝は15時から23時まで営業しており、遅い時間帯に立ち寄れる点を重宝する客が多い。
現金のほかクレジットカードやQRコード決済にも対応しており、手持ちを気にせず入れる。土日祝は15時開店のため、昼飲みの延長で早い時間から腰を据える使い方も定着しつつあるという。仕事終わりの一杯から休日の長居まで、時間帯を問わず受け入れる営業スタイルが、日常的に通える店としての位置づけを固めている。


